ヒルトップにようこそ 42

 茉莉と佐知子は、一件目の目的地にたどり着いた。近くの空き地に車を駐めて、歩いて様子を見てみることにした。佐知子は、車から降りると、少しふらつくのを覚えた。茉莉の運転は紛れもなく安全運転だったのだが、なぜか、佐知子は全身に力が入っていた。少しひざが笑っていた。
 まずは、まわりを一周りしてみることにした。運送屋には、確かに倉庫があり、正面には、数台のトラックが並んでいる。倉庫はそう大きくはない。そして倉庫に窓はあるものの、その窓には、文字が書いてある様子はなかった。
「どう?」
佐知子が、茉莉の顔を見ながら尋ねた。茉莉は首を振りながら、
「違うみたい」
と答えた。
「そうよね。窓に文字、書いてないし」
「ま、いきなりビンゴってわけには行かないわよね」
茉莉が、佐知子を励ますためか、自分を勇気づけるためか、努めて明るく言った。
 車に戻ると、地図の赤○(マル)のチェックの上に、初めての×(バツ)印が打たれた。この先、どれくらい×が増えていくだろうか。◎がつくことはあるだろうか。二人は、思わずため息をついてしまった。

 ヒルトップを飛び出したマスターは、昨夜見張っていた、綾子と佐知子のマンションの前にユーノスを駐めた。昨日茉莉から教わった、佐知子の駐車位置を探した。当たり前だが、車は駐まっていない。
 ユーノスを降りて、佐知子の駐車場所まで行ってみた。
 ・・・!
 佐知子の駐車スペースには、「503」と書いてある。茉莉は昨夜、五階を指さして「綾子と佐知子の部屋」と言っていた。
「あら、マスターさん」
不意に後ろから声を掛けられて、マスターはギクッとして振り返った。そこには、マンションから出てきた綾子が立っていた。

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